江藤有希
ヴァイオリニスト、作・編曲家

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2004年ブラジル旅行記・回顧篇

2012.4.16 更新

未完ながらもチラホラと反響をいただくことの多い「2004年ブラジル旅行記」。
公式ホームページのリニューアルに伴いこちらのブログに残すことにしました。
最終的には2ヶ月あまり滞在することになったブラジル。
実は帰国後に大きく体調をくずしたこともあり、リオ6週目まで書き終えてからずるずると時間ばかりが経ってしまい、鮮明な記憶もあるけれど、やはりあやふやになってしまうので加筆しないことといたしました。そのかわりざっくりまとめます。あくまで2012年4月時点の回顧として。

リオ7週目以降も、相変わらずライブの日々。最後に出演したアジェノールのライブの時は、調子に乗ってビールを飲んでからステージにあがったら眠くて眠くて、サンバ弾きながら睡魔と闘ったのは後にも先にもこの時だけです。メンバーから「寝てただろ!」と突っ込まれたのも良い想い出。
レッスンでは、ホジェーリオの言葉が今でも自分の指針になっています。
“ミュージシャンは、もらった楽譜を正確に再現するひと。
アーティストは、ここはこの色あそこはあの色、と画家のように描くひと。
良いミュージシャンではなく、良いアーティストになりなさい”

そして最後の週は、毎日レコーディング・スタジオに通いました。
アジェノールのアルバムに2曲参加。本当は1曲だけの予定が、急きょ参加することになった2曲目では10人分のストリングスを一人で弾いてぜーぜー。
参加ミュージシャンが超豪華だったので、毎日わくわくしながらサンタテレーザのスタジオを見学してました。本当に一人一人が素晴らしかった。確か2年後くらいに完成したアルバムを受け取って聴いたら、アルバム自体がとても素敵な仕上がりで、お気に入りになりました。ヴァイオリンはあくまでそえものですが(それでもうれしい)、すべてアジェノールのオリジナル曲で、アレンジがこれまた多彩で楽しい。

このあたりで総括。

ブラジルに到着して、とても早い段階で素晴らしい方々との出会いがあり、素晴らしいミュージシャンとの共演が実現したのは、本当にラッキーでした。このことについて思ったのは、それまで日本からブラジルを訪ねていった人びと(音楽遊学のために渡った方も、ひろくは移民、移住された方も含みます)がきちんとされていたから、最初から信頼してもらえたのではという気がしました。
初の海外滞在で、日本人であることを誇りに思えてとても幸せでした。
一緒に旅してくれた片山淑美さんや、サンパウロでつきっきりで案内してくれたマリエ先生とそのご家族。リオに着いてからも本当にたくさんの方にお世話になりました。

ブラジルにいってみて実感したのは、皆、自分たちの音楽をやっているということ。
伝統的なショーロの曲、スタイルを踏襲しながらも(ホーダ・ジ・ショーロはまさにその口伝の場)、どんどん曲を作り、ライブとなれば人と同じようなアレンジはしない。
それまで曲を作ったことはありませんでしたが、あの体験は大きく、帰国後からたくさん作曲の機会に恵まれるようになり、現在に至っています。

気づけば、何のジャンルを演奏するひとかよくわからない状態になっていますが、そのこと自体がブラジルに行って得た最大の宝物のような気がします。